特定技能外国人を受け入れる際に、受け入れる外国人の勤務や生活を支援することが義務付けられています。登録支援機関に委託することも可能ですが、委託の費用などを考えると、自社内で支援を完結できればと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、自社支援を行うことは決して無理な話ではありません。
各種書類の準備や要件のクリアなどは必要ですが、自社支援開始までの流れはシンプルです。

当社ではベトナム、ネパール、カンボジア、インドネシアなど多国籍な人材を必要とする企業へとご紹介していますが、ご紹介先の企業様の中には自社支援を行われる企業様もいらっしゃいます。
自社支援のメリット・デメリット
そもそも登録支援機関への支援委託から自社支援へと切り替えると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
自社支援の各要件に適合する受入機関の場合、自社による生活支援業務を行うことができますが、自社支援のメリット及びデメリットは下記のようなものが考えられます。
メリット
- コスト削減 登録支援機関への委託に係る委託料が削減できます。
- 登録支援機関へ支払う月々の委託料が発生しない。
- 支援業務への迅速できめ細かな対応が可能
- 待遇、環境等の不満による転職者を防ぐ効果
- 失踪者の発生を防ぐ効果
デメリット
- 義務的支援及び任意的支援並びに届出の確実な履行
- 定められた義務及び各種届出を確実に行うためには、関係法令等の正しい理解及び広範囲の及ぶ専門的知識が必要となります。
- 支援に必要な人材への人件費がかかる
- 支援及び届け出義務を履行する支援責任者及び支援担当者
- 雇用する1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で対応可能な人材
特定技能を自社支援にするための要件
自社支援を行うためには、受入機関が1号特定技能外国人の確保に関する基準に適合している必要があります。
- 以下のいずれかに該当すること
(ア) 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
(イ) 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
(ウ) (ア)又は(イ)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること - 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
- 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
- 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
- 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
- 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
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「外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること」とありますが、「外国人が十分理解できる言語」とは、母国語ということですか?また、母国語で対応可能な職員を常に確保している必要がありますか?
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「十分に理解することができる言語」とは、特定技能外国人の母国語には限られませんが、当該外国人が内容を余すことなく理解できるものをいいます。
特定技能外国人が十分に理解できる言語により対応可能な職員が在籍していることのほか、必要な際に委託するなどして通訳人を確保できることが求められます。※委託通訳人は、あくまで相談業務の履行補助者です。
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支援責任者及び支援担当者専任の要件及び業務内容を教えてください。
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「支援責任者」
特定技能所属機関の役員又は職員(常勤でなくてもよい)であり、支援担当者を監督する立場である者
➢下記の事項について統括管理する
・1号特定技能外国人支援計の作成に関すること
・支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理に関すること
・支援の進捗状況の確認に関すること
・支援状況の届出に関すること
・支援状況に関する帳簿の作成及び保管に関すること
・制度所管省庁、業所管省庁その他関係機関との連絡調整に関すること
・その他支援に必要な一切の事項に関すること「支援担当者」
特定技能所属機関の役員又は職員であり、1号特定技能外国人支援計画に沿った支援を行うことを任務とする者であり、常勤であることが望まれる。
・支援責任者が支援担当者を兼任することは可能。
※:双方の基準に適合しなければならなりません。
・支援担当者は、特定技能受入機関ごとではなく、外国人の特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに選任しなければなりません。
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「支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行う」とは、具体的にどういうことでしょうか
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支援責任者及び支援担当者が、「外国人を監督する立場にない者その他の1号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者」でないことをいいます。
1号特定技能外国人と異なる部署の職員であるなど、当該外国人に対する指揮命令権を有しない者をいい、異なる部署であっても、当該外国人に実質的に指揮命令をし得る立場にある者は含まれません。したがって、1号特定技能外国人と形式上異なる部署の職員であっても、代表取締役、当該外国人が所属する部署を監督する長(例えば、当該外国人の所属する部署が製造課である場合の製造部長)など組織図を作成した場合に縦のラインにある者は適格性がないこととなります。
「1号特定技能外国人支援計画の中立的な実施を行うことができる立場の者」であるか否かの判断に当たっては、上記の点のほか、事業形態、外国人を監督する立場にある者と支援責任者及び支援担当者との関係性などが考慮要素として挙げられます。
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自社支援をするにあたってまず行うべきことは何ですか?
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1号特定技能外国人支援計画書を作り直す必要があります。支援計画に基づき支援を行わなければなりません。
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支援計画とはどのようなものですか
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1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画です。
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具体的な支援内容を教えてください。
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職業生活上、日常生活または社会生活上の支援として必要であるとして省令で定められた10項目は下記のとおりです。
(1)事前ガイダンス
(2)出入国する際の送迎
(3)住居確保・生活に必要な契約支援
(4)生活オリエンテーション
(5)公的手続等への同行
(6)日本語学習の機会の提供
(7)相談・苦情への対応
(8)日本人との交流促進
(9)転職支援(人員整理等の場合)
(10)定期的な面談・行政機関への通報
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支援計画書で記載した支援については、受入機関自らが行わなければなりませんか。
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支援の一部を委託することもできます。
自社支援開始の届出について
自社支援切替手続で管轄地方出入国在留管理局へ届出をする書類
- 第3-2号 支援計画の変更に係る届出書
- 第3-2号(別紙)
- 第1-17号 1号特定技能外国人支援計画
- 第3-3-2号 支援委託契約の終了又は締結に係る届出書
- 支援の中立性を疎明する資料 その他入管から提出を求められた資料
届出の締め切り
登録支援機関との委託契約終了・自社支援開始日から14日以内に事業所を管轄する地方出入国在留管理局に届出する必要があります。
随時の届出 / 定時の届出について
管轄地方出入国在留管理局へ届け出る必要がある書類
【随時の届出】
- 特定技能雇用契約の変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
- 支援計画の変更に関する届出
- 登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出
- 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
- 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
締め切り:事由発生日から14日以内 (翌日起算)
【定期の届出】
- 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出(例:特定技能外国人の受入れ総数、氏名等の情報、活動日数、場所、業務内容等)
- 支援計画の実施状況に関する届出(例:相談内容及び対応結果等)
※支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合を除く - 特定技能外国人の活動状況に関する届出(例:報酬の支払状況、離職者数、行方不明者数、受入れに要した費用の額等)
締め切り:四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内 (翌日起算)
■第1四半期:1月1日から 3月31日まで
■第2四半期:4月1日から 6月30日まで
■第3四半期:7月1日から 9月30日まで
■第4四半期:10月1日から 12月31日まで
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届出する書類は感覚地方出入国在留管理局へ持参する必要がありますか
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郵送の他、インターネットでも届出することができます。
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インターネットは誰でも利用できますか?
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だれでも利用できますが、事前に利用者情報登録を行う必要があります。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/online/i-ens_registration.html
まとめ
特定技能外国人を登録機関を使わず自社支援だけで受け入れることは可能です。ただし、行政の関わる手続きですので、細かな要件を学んだり、必要書類を根気強く用意する手間などはどうしても発生してしまいます。
分からないことがあれば出入国在留管理庁が公式ホームページで細かなQ&Aを作成していますので、そちらを参考にしてみると良いでしょう。
【出入国在留管理庁 特定技能制度に関するQ&A】
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html
「通常業務で時間が取れない」「調べてみたけど複雑でよくわからなかった」など自社で対応が難しい場合は当社にお気軽にご相談ください。自社支援を行うには専門的知識が必要となりますが、当社では、専門知識を有する専門職等と連携し、自社支援への切り替えをスムーズに行えるようサポートさせていただきます。
