
ついに、日本のバス・タクシー業界にも外国人ドライバーの波が押し寄せています。外国人がハンドルを握り、日本の街を走る日が、いよいよ現実のものとなろうとしています。
今回は、政府が動き出した「特定技能・自動車運送分野」の制度見直しを中心に、注目の日本語要件緩和や今後の展望について詳しく見ていきましょう。
近年、日本では多くの業界で人手不足が深刻化していますが、中でも公共交通を担うバス・タクシー業界は極めて厳しい状況に直面しています。
ドライバーの高齢化が進み、引退者が増える一方で、新たな人材の確保が難しくなっており、都市部のみならず地方でも交通の維持に支障をきたすケースが増加しています。
このような背景を受け、政府は「特定技能1号」という在留資格を活用し、一定の技能と経験を持つ外国人をバス・タクシー運転手として受け入れる制度を整備しました。
制度自体は非常に有効な対策として期待されていましたが、現実的にはあまり機能していないのが実情です。その大きな要因が、日本語能力要件の高さでした。
従来、バス・タクシー運転手として働くためには、日本語能力試験(JLPT)のN3レベル以上が求められていました。これは、日常的な会話や簡単な文章を理解できる中級レベルで、外国人にとっては高いハードルです。
特に、運転中にはお客様との接客や、緊急対応などが求められるため、より高度な日本語力が条件とされてきました。
その結果、2025年4月末時点で特定技能評価試験の合格者はゼロ。制度の活用がほとんど進まないという厳しい現実が浮き彫りになりました。
こうした状況を受け、政府は新たな緩和策として日本語能力の要件を「N3」から「N4」へ引き下げる方針を打ち出しました。
N4は、日常的な日本語の基本が理解できる初級〜中級レベルであり、外国人にとってはより実現可能な条件です。
ただし、N4レベルの外国人ドライバーには、「日本語サポーター」の同乗を義務付けることで、日本語力の不足を現場でカバーする仕組みが導入される予定です。
また、就労後も継続的な日本語学習を行い、早期にN3レベルの取得を目指すようサポートしていく体制も整えられるとのことです。
ここで注目したいのが、近年急速に進化している通訳・翻訳技術の活用です。
現在ではスマートフォンやタブレットを使えば、リアルタイムで翻訳や音声認識が可能なアプリが多数存在しており、日本語が得意でない外国人でもスムーズにコミュニケーションを取ることができるようになっています。
バスやタクシー車内でも、これらのテクノロジーを活用すれば、乗客とのやり取りや案内もスムーズに行うことが可能になりつつあります。
今後さらにAI翻訳や音声案内の導入が進めば、外国人ドライバーの活躍の場は確実に広がっていくことでしょう。
今回の日本語要件の緩和は、単なる制度の見直しにとどまりません。
これは日本社会が、「多様な人材を受け入れ、共に働く時代」へと本格的に踏み出したことを示す重要な一歩です。
生活インフラである公共交通を支えるドライバーという職種に、世界中から人材が加わることによって、日本の移動の未来はより柔軟で、国際的なものになっていくことでしょう。
言葉や文化の壁を越えて、多様な背景を持つ人々が共に働く社会――それこそが、これからの日本のあるべき姿なのかもしれません。
制度の見直しとテクノロジーの進化によって、今後ますます外国人ドライバーの活躍が期待される時代になっていきます。
もし、外国人ドライバーの採用を検討されている企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までご相談ください。
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