近年、日本では人手不足を背景とした企業倒産が急増しています。2024年には、人手不足を理由とする倒産が過去最多の342件に達しました。これは前年よりも大幅に増加しており、特に中小企業や地方の企業において深刻な影響を及ぼしています。
帝国データバンクの調査によると、業種別では建設業、小売業、介護・福祉業界などで人材確保が困難な状況が続いています。特に、労働集約型の産業では人手不足の影響が大きく、事業の継続が困難になるケースが増えています。
労働力不足を背景に、企業は従業員の確保や離職防止のために賃上げを進めています。2023年の主要企業の春季賃上げ率は3.6％、2024年には5.33％と大幅に上昇しました。これは、日本経済にとってポジティブな側面もありますが、中小企業にとっては賃上げの負担が大きく、経営の圧迫要因となっています。
賃上げの動きは、大手企業のみならず中小企業にも波及しつつありますが、資金力の差によって対応できる企業とそうでない企業の二極化が進む懸念があります。そのため、人材確保が困難な企業ほど厳しい経営環境に直面しているのが現状です。
こうした状況を受けて、多くの企業が外国人労働者の活用を検討し始めています。現在、日本には約200万人の外国人労働者が在籍しており、特定技能制度や技能実習制度を通じて、多くの業界で活躍しています。
特に、建設業や介護業界では、外国人労働者の受け入れが進んでおり、企業の人材不足解消に貢献しています。2024年4月には、特定技能制度の拡充が行われ、より多くの外国人労働者が日本で働きやすい環境が整えられています。
また、技術・人文知識・国際業務（技人国）ビザを活用し、専門職の外国人材を採用する動きも活発化しています。特にIT分野やエンジニアリング業界では、即戦力となる外国人の採用が急務となっています。
日本の人手不足は今後も続くと予測されており、企業の生存戦略として「人材確保」は最優先課題となっています。賃上げだけでなく、多様な人材の活用が求められる時代となっており、外国人労働者の受け入れも一つの選択肢として真剣に考える必要があります。
人材不足による倒産を回避し、企業の持続的な成長を実現するために、柔軟な採用戦略を検討することが重要です。今こそ、外国人労働者の活用について本格的に取り組むタイミングかもしれません。
